はじめに
新社会人として新たな生活をスタートさせるにあたって、「自分の車を持ちたい」と思う方は少なくありません。通勤やプライベートの移動に便利な車は、自由と快適さを与えてくれる存在です。しかし、初めての車購入には資金計画や維持費、契約内容など、知らないと損をするポイントがいくつもあります。
この記事では、新卒の方が初めてマイカーを購入する際に知っておきたい基礎知識をわかりやすく解説します。「新卒でも車は買えるの?」「ローン審査は通るの?」「どんな車を選べばいい?」といった疑問に答えつつ、無理のない買い方を一緒に考えていきましょう。
新卒で車を買う人の割合と傾向
どのくらいの新卒が車を購入しているか
近年、新卒で車を購入する人の割合は減少傾向にあります。日本自動車販売協会の統計では、20代の新車購入者数は年々減少しており、特に都市部においては「車を持たない若者」が増えています。一方で、地方では交通手段として車が不可欠なため、新卒1年目で購入するケースも多く見られます。
統計的には、新卒のうちおよそ20〜30%程度が入社から1年以内に車を購入していると言われています。その背景には、就職先の立地や通勤事情、実家暮らしか一人暮らしかといったライフスタイルの違いがあります。
都市部と地方での違い
都市部では公共交通機関が発達しており、通勤に電車やバスを使う人が多いため、車の必要性はそれほど高くありません。また、駐車場代や保険料などの維持費も高く、若年層にとって車は「贅沢品」と感じられることもあります。
一方、地方では公共交通の便が悪く、移動手段としての車は生活必需品です。会社によっては通勤に車が必要なケースもあり、就職を機にマイカー購入を検討する新卒は多くいます。このように、車購入の傾向は地域性にも大きく左右されるのです。
社会人1年目で車が必要になるケースとは
新卒で車を買う理由はさまざまですが、主に以下のようなケースが多いです。
- 通勤手段として必要(特に地方勤務)
- 社会人として自立した証としてマイカーが欲しい
- 休日の移動や趣味のため
- 実家から離れ、一人暮らしでの移動が不便
また、営業職などで「自家用車を業務に使用する」会社では、車の所有が求められることもあります。この場合は、会社が購入を支援する制度(補助やローンの保証など)があるかを確認すると良いでしょう。
車を買うための基本的な流れ
資金計画から納車までのステップ
新卒が車を購入する際の一般的な流れは以下の通りです。
- 資金計画を立てる(予算・支払い方法を検討)
- 車種を選ぶ(新車か中古車かも含めて)
- 販売店を訪問・見積もり取得
- 契約・ローン申込・審査
- 任意保険の手続き
- 登録・納車
この中で最も重要なのが資金計画です。頭金の有無や月々の返済額、維持費などを含めて総合的に予算を組む必要があります。予算オーバーの車を無理にローンで買ってしまうと、後々の生活が圧迫されかねません。
新車と中古車、どちらを選ぶ?
新卒で車を買う場合、新車と中古車どちらにすべきかは悩みどころです。
- 新車のメリット:故障リスクが低く、最新機能が充実。メーカー保証もあり安心感がある。
- 新車のデメリット:価格が高く、ローン負担が大きくなりがち。
- 中古車のメリット:価格が抑えられており、同じ予算でもグレードの高い車が狙える。
- 中古車のデメリット:車両状態にバラつきがあり、故障リスクがある。
予算が限られている場合は、信頼できる販売店で保証付きの中古車を購入するのが現実的な選択肢です。将来的に買い替える前提であれば、中古車からスタートしても問題ありません。
ディーラーでの購入とカーリースの違い
車の購入方法は、ディーラーでの現金・ローン購入以外に「カーリース」という選択肢もあります。
- ディーラー購入:車両の所有権は購入者にあり、自由に使える。売却やカスタマイズも可能。
- カーリース:車両の所有権はリース会社にあり、契約期間中はレンタルのように利用。車検・税金・メンテナンス込みのプランもあり、月々の支払いが明確。
維持費込みで管理しやすく、初期費用を抑えられるカーリースは、新卒にも人気の手段です。ただし、契約満了時に返却や追加精算が必要な場合もあるため、契約内容の確認は必須です。
新卒で車を買う場合の支払い方法
現金一括購入のメリット・デメリット
新卒でも、ある程度の貯蓄がある場合や、親からの援助が受けられる場合は、現金一括購入を検討することができます。一括購入の最大のメリットは、金利の支払いが発生せず、トータルの支出を抑えられる点です。また、車の所有権がすぐに自分のものになるため、名義変更や売却の際にもスムーズです。
ただし、新卒の段階で車両本体価格や諸費用、任意保険などをすべて現金で支払うのは簡単ではありません。生活の立ち上げにかかる初期費用(家電・家具・引っ越し費用など)と合わせて考えると、現金を手元に残しておく余裕も必要です。
また、現金を全額車に使ってしまうと、突発的な出費(病気・事故・修理など)に対応できなくなるリスクもあるため、生活防衛資金を残しておくことが前提となります。
自動車ローンの基礎知識と審査のポイント
自動車ローンは、まとまった現金がない場合や、あえて資金を温存したい場合に有効な支払い方法です。ローンには主に以下の2種類があります:
- ディーラー系ローン(販売店が紹介)
- 銀行・信用金庫などの金融機関系ローン
ディーラー系ローンは審査が比較的通りやすく、手続きも簡便ですが、金利がやや高い傾向にあります。銀行ローンは金利が低めですが、審査基準が厳しく、審査期間も長くなることがあります。
新卒1年目の場合、審査では主に「勤務先」「年収の見込み」「勤続年数(1年未満でも可)」「信用情報(クレジットカード履歴など)」が見られます。就職先が上場企業や公務員である場合は、審査に通りやすい傾向があります。
親の援助や奨学金とのバランスをどう考えるか
親が車の購入費用を一部援助してくれるケースも多くあります。この場合、名義を誰にするか、維持費を誰が負担するかなども事前に話し合っておきましょう。親が保証人になることでローン審査が通りやすくなる場合もあります。
一方で、すでに奨学金の返済が始まっている場合は注意が必要です。月々の返済が重なると生活が圧迫される可能性があるため、自動車ローンと合わせての「二重ローン」にならないよう、計画的な返済プランを立てることが不可欠です。
月々いくらまでなら無理なく支払える?
初任給から見た適正な車の予算とは
車の購入予算は「年収の半分程度まで」が一つの目安とされています。新卒1年目の平均年収が約250〜300万円とすると、車両価格としては120〜150万円程度が現実的なラインといえるでしょう。
ただし、車両本体価格だけでなく、税金・保険・登録費用などの諸費用も発生します。たとえば、120万円の車を購入する場合、諸費用を含めると総額は約140〜150万円になります。これを月額ローンに換算すると、ボーナス払い併用で月2〜3万円程度が目安です。
保険料・維持費・ガソリン代も含めたシミュレーション
車を購入した後には、維持費が継続的に発生します。特に新卒が見落としがちなのが「任意保険」です。20代前半の保険料は高額になる傾向があり、車種や免許取得年数によっては年間10万円以上になることも珍しくありません。
そのほか、以下のような費用も月々かかってきます:
- ガソリン代:月5,000円〜10,000円程度(通勤距離により変動)
- 駐車場代:地方で月5,000円〜、都市部では1万円超えることも
- 自動車税・車検費用:年1回または2年に1回の大きな支出
これらを含めて、月にかかる維持費は平均で15,000〜30,000円程度。ローン返済と合わせると、月の支出が5万円を超えることもあるため、手取り収入とのバランスを見ながら慎重に判断しましょう。
ボーナス払いは活用すべき?
自動車ローンでは、「ボーナス払い併用型ローン」を選ぶこともできます。これにより、月々の支払額を抑えながら、年2回のボーナス時に大きな金額をまとめて返済する仕組みです。
ただし、新卒1年目はボーナスの金額が少なかったり、支給が確定していなかったりする場合もあります。会社によってはボーナス支給が年1回や業績連動型であることもあるため、確実に支給されるかどうかを確認してから選択するようにしましょう。
ボーナス払いを過信してしまうと、支給額が想定を下回ったときに支払いが厳しくなるリスクもあるため、なるべく「ボーナスがなくても支払える範囲」で返済計画を立てるのが安全です。
新卒が陥りやすい車購入の落とし穴
支払い計画が甘いとどうなる?
車の購入は一時的な出費ではなく、長期的に支払いが続くライフイベントです。新卒の場合、社会人生活が始まったばかりで家計管理の経験が浅いため、支払い計画が甘くなりがちです。たとえば「月々2万円なら払える」と軽く考えて契約してしまうと、保険料や駐車場代、ガソリン代などの維持費を加えた合計額が想像以上になり、毎月の可処分所得が大きく減ることになります。
また、ボーナス払いを前提にしていた場合でも、予想よりボーナスが少なかった、あるいは支給されなかったということも十分ありえます。こうした事態に備えて、現実的な返済計画と生活費とのバランスを取った設計が必要です。
無理なローン契約とその後の影響
自動車ローンは数年間にわたり毎月返済し続ける義務があるため、収入に対して無理なローンを組んでしまうと生活全体が不安定になります。さらに、支払いが滞った場合は信用情報に傷がつき、将来の住宅ローンやクレジットカード審査に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、車を手放したくなってもローン残債があると自由に売却することも難しくなります。返済が終わるまでは所有権が信販会社にあるため、売却時には「残債精算」が必要になります。こうした契約上の制限も視野に入れておくことが重要です。
見落としがちな「維持費」と「任意保険」の重要性
購入時にはどうしても車両本体価格や月々の支払い額に目が行きがちですが、車を維持するにはそれ以外にも多くの費用がかかります。特に見落とされがちなのが「任意保険」です。
任意保険は、自賠責保険ではカバーできない事故や損害を補償してくれるもので、実質的に必須といえます。20代前半、しかも免許取り立ての場合は保険料が非常に高くなるため、月額1万円以上になるケースも珍しくありません。
また、駐車場代やタイヤの交換費用、オイル交換・車検といったメンテナンスコストも忘れてはいけません。これらの費用を想定していないと、思わぬ出費に家計が圧迫され、車を持つこと自体が負担になってしまうこともあります。
車の選び方:通勤・休日・ライフスタイル別に考える
通勤に使うなら重視すべきポイント
通勤で車を使う場合は、燃費・維持費・乗り心地といった実用性を重視する必要があります。特に片道30分以上の通勤距離がある方は、運転疲れがたまりにくい車種を選ぶことが重要です。
また、エンジン音の静かさやエアコンの効き、シートの硬さなど、試乗して細かい部分を確認しておくと安心です。小回りの効くコンパクトカーや軽自動車は、駐車のしやすさや維持費の面でも通勤向けです。
休日用ならデザイン・趣味性も検討材料
一方で、休日ドライブやアウトドア、趣味に使いたいという場合は、自分のスタイルに合ったデザインや走行性能、収納力などを重視するとよいでしょう。SUVやミニバンは積載力が高く、キャンプや買い物など多用途に使えるため人気があります。
ただし、車体が大きくなると車両価格も高くなり、維持費(特に燃費やタイヤ代)も上がるため、自分のライフスタイルに合う範囲で選ぶことが重要です。
ライフスタイルの変化を見越した車選び
車は一度購入すると最低でも数年は乗り続けることが多いため、将来のライフスタイルの変化も見越して選ぶ必要があります。たとえば、今後結婚や引越しの予定がある場合、家族構成や居住地の交通事情に合わせて、今の自分だけでなく未来の自分にもフィットする車かどうかを考えておきましょう。
また、ローン契約期間とライフイベントのタイミングが重なる場合、車の買い替えや乗り換えが難しくなることもあるため、柔軟に対応できる選択肢(短期リースや残価設定ローンなど)を検討するのも一つの手です。
カーリースという選択肢も視野に
初期費用が抑えられるリースのメリット
新卒にとってカーリースは、まとまった初期費用がかからず、毎月定額で車に乗れるという点で非常に魅力的な選択肢です。リース契約では、車両代・車検・税金・自賠責保険・メンテナンス費用が含まれたパッケージになっていることが多く、突発的な出費が少なく済みます。
このような「サブスク感覚」の所有スタイルは、予算管理がしやすく、生活の見通しを立てやすいという利点があります。また、契約満了時には返却・再リース・買取といった選択ができるため、ライフステージの変化に応じて柔軟に対応できます。
特に就職したばかりで、ボーナスも貯金もまだ十分でない人にとっては、「いきなり高額な出費なし」で車を持てる手段として現実的です。
月額定額で管理しやすい支払いスタイル
カーリースの月額費用は車種や契約期間によって異なりますが、軽自動車であれば1〜2万円台から、普通車でも3万円前後のプランが用意されています。契約年数は一般的に3〜7年で、自分のライフプランに合わせて選ぶことが可能です。
加えて、走行距離の制限や中途解約時の違約金など、契約上の制約があることも理解しておく必要があります。たとえば、年間1万キロまでなどの上限があり、それを超過すると精算が発生することがあります。契約内容を十分に把握したうえで、自分の使用頻度や目的にマッチしているかを検討することが大切です。
将来的な買い替えやライフステージの変化にも柔軟対応
カーリースの最大の強みは「将来の変化に柔軟に対応できる」ことです。たとえば、数年後に転勤が決まったり、結婚して家族構成が変わったりした場合、車の使い方も大きく変わる可能性があります。
このような場合でも、リースなら契約期間の終了を待つだけで次の車にスムーズに乗り換えることができます。長期間保有することが前提の購入とは異なり、フレキシブルに移行できる点が、若い世代にとって大きな魅力です。
親や先輩に相談しておきたいこと
親に保証人を頼む場合の注意点
新卒でローンを組む際、金融機関や販売店によっては親を保証人に求められることがあります。これは安定した収入実績がまだ十分でないことから、返済能力の裏付けとして求められる措置です。
保証人を立てること自体は問題ありませんが、保証人にも「返済義務」が生じるため、家族間でも十分に理解と同意を得ておく必要があります。軽い気持ちで頼むのではなく、契約書や返済条件をきちんと説明し、信頼関係を損なわないようにしましょう。
また、保証人を頼まなくても審査が通るカーリースなどの方法もあるため、複数の選択肢を比較したうえで判断することが重要です。
社会人経験者だからこそ知っているリアルな失敗談
実際に新卒で車を購入した先輩や社会人経験者の話は、インターネット上の情報よりも現実的で信頼性があります。「買ってみたら思ったより維持費が高かった」「乗る時間が少なくて割に合わなかった」「もっと小さい車にしておけばよかった」など、リアルな失敗談を聞くことで、自分の判断の参考になります。
可能であれば、身近な先輩や家族に車の購入や維持費、保険の選び方などについて相談してみましょう。自身の状況と近い経験談を聞くことで、より現実的な判断ができるようになります。
周囲のアドバイスをどう活かすか
情報があふれる現代では、周囲からのアドバイスをどのように活かすかがカギになります。すべてを鵜呑みにする必要はありませんが、自分では気づかない視点やリスクを教えてもらえる貴重な機会です。
一方で、アドバイスの中には「昔はこうだった」という過去の常識に基づくものもあるため、時代背景や状況の違いを踏まえたうえで取捨選択しましょう。最終的には、自分の生活・価値観・将来設計にとって最も納得できる選択をすることが大切です。
まとめ
新卒で車を購入することは、決して無謀なことではありません。ただし、勢いだけで契約を決めてしまうと、将来的に後悔する可能性が高くなります。自分の収入、生活費、ライフプラン、価値観など、あらゆる側面を考慮して判断することが必要です。
現金一括、ローン、カーリースといった多様な選択肢がある中で、自分にとって最適な方法を見極めるには、情報収集と計画が不可欠です。また、支払い能力だけでなく、維持費や生活全体のバランスも含めて長期的な視野で判断することが、新卒での車購入成功のカギとなります。
この記事を通じて、あなたが「後悔しないマイカー選び」を実現できることを願っています。
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