はじめに
車の購入にあたり、多くの方が利用するのがマイカーローンです。ローン審査に通るかどうかは、収入や信用情報などさまざまな要素に左右されます。そのなかでも重要視されるのが「年収」。この年収を実際よりも多く申告すれば、審査に有利になるのではないかと考える人もいるかもしれません。しかし、年収をごまかす行為には重大なリスクが伴い、発覚した場合には厳しい処分が下される可能性もあります。本記事では、マイカーローンにおける虚偽申告のリスク、発覚の仕組み、そして正しくローンを利用するためのポイントについて詳しく解説します。
車のローン申込時に年収が求められる理由
返済能力を評価するための重要な指標
ローンの審査では、申込者が本当に返済できるかどうかを判断するために、収入の状況が重要な判断材料となります。年収はその人の経済的な基盤を示す指標であり、返済能力を見極める上で欠かせません。無理のない返済計画を立てるためにも、正確な収入情報の提出が求められます。
年収と返済負担率との関係
金融機関は、年収に対してどの程度の返済額を抱えるかという「返済負担率」に注目します。返済負担率が高すぎると、生活に支障が出る恐れがあり、貸し倒れのリスクも高まるため、審査ではマイナスポイントになります。一般的には、年収の30%〜35%以下に返済額を抑えることが望ましいとされています。
金融機関が重視する情報の優先度
年収以外にも勤務先の安定性、勤続年数、他のローンの有無などがチェックされますが、年収はそれらの中でも特に重視される情報です。なぜなら、同じ勤務先でも収入が低ければ返済能力は限定されるためです。正しい年収情報は、ローンの可否を決める土台となります。
年収をごまかす行為とは具体的に何か
よくある虚偽申告のパターン
虚偽申告にはいくつかの典型的なパターンがあります。たとえば、収入証明書の偽造や、実際の勤務先とは異なる企業名で申告する行為です。また、実際にはアルバイトや非正規雇用であるにもかかわらず、正社員と偽るケースも見られます。これらはいずれも審査を欺く目的で行われる不正です。
収入証明書と申告内容の不一致
審査過程では、源泉徴収票や給与明細、確定申告書などの収入証明書の提出が求められます。ここで、自己申告した年収と証明書の金額にズレがあると、金融機関は不審に思い、審査を中断したり否決したりします。証明書と申告の整合性が非常に重要です。
他人の収入を使った申告の危険性
稀に、家族や知人の年収を自分のものとして申告するケースもありますが、これはれっきとした詐欺行為です。たとえその人が返済を手伝ってくれると約束していたとしても、契約上は申込者本人の返済能力が問われます。他人の情報を使った虚偽申告は刑事罰の対象となることもあります。
年収をごまかすと何が起こるのか
契約解除・ローン取消の可能性
ローン契約後に虚偽申告が発覚した場合、契約そのものが解除され、未払い残債の一括返済を求められることがあります。たとえすでに車を納車していたとしても、所有権がローン会社にあるため、車を引き上げられる可能性もあります。
信用情報に記録されるリスク
虚偽申告により契約が取り消されると、信用情報機関に「異動情報」として記録され、今後のローンやクレジットカードの審査に大きな影響を及ぼします。この記録は一定期間消えず、その間は金融取引において非常に不利な立場となります。
損害賠償や詐欺罪に問われる可能性
場合によっては、金融機関に損害を与えたとして損害賠償請求がされる可能性があります。さらに、明らかに意図的な虚偽申告と判断された場合、詐欺罪に該当することもあり、刑事罰の対象となることもあります。数十万円のローンでも、法的な責任は重大です。
年収の虚偽申告はどうやってバレるのか
提出書類の照合で発覚する
ローン審査では、年収を証明するための書類が求められます。源泉徴収票や給与明細、確定申告書などが主な証拠資料です。これらの書類は金融機関の担当者が厳しくチェックし、申告内容との一致を確認します。たとえば、申告年収が500万円であるにもかかわらず、源泉徴収票の総支給額が350万円であれば、即座に不一致と判断され、虚偽申告の疑いが生じます。書類の整合性が取れていない場合、最悪の場合は審査そのものが打ち切られます。
信用情報機関との連携で情報照合
金融機関は、信用情報機関(CICやJICCなど)と連携し、他のローンやクレジット履歴、債務状況などを確認しています。たとえば、申込者が過去に申告した年収情報や借入金額との整合性をチェックすることもあります。複数の申込において年収が大きく異なる場合、審査担当者の目に留まり、追加の確認や調査が行われます。こうした照合作業は自動化も進んでおり、嘘の申告は以前よりも発覚しやすい状況です。
勤務先への在籍確認で判明するケースも
多くの金融機関では、審査の過程で勤務先への在籍確認が行われます。この際、勤務実態や職種、雇用形態などが確認され、申告と異なる情報があれば審査に影響を与えます。たとえば、正社員と申告していたが実際には契約社員だった、収入を大幅に上乗せしていた、といったケースでは、在籍確認時に虚偽が明らかになり、申込みが却下されることがあります。
虚偽申告を避けるために知っておくべきポイント
必ず正確な年収を申告する
ローン審査においては、虚偽の申告をするメリットは一時的なもので、リスクの方が圧倒的に大きいのが実情です。たとえ審査通過が難しい状況であっても、正確な年収を伝え、金融機関に信頼されることが重要です。誠実な情報提供が、将来的な金融取引にもプラスになります。
年収証明書類を正しく準備する
源泉徴収票、給与明細、確定申告書など、求められる書類を正確に準備しましょう。特に自営業者やフリーランスの場合、確定申告書類は年収の根拠として非常に重要です。不備や不正がないよう、最新の書類をきちんと揃えることが審査通過への第一歩です。
金融機関と相談して正直に事情を伝える
審査に不安がある場合は、金融機関に事前相談するのも有効です。特に収入が不安定な方や勤続年数が短い方でも、補足資料や共同申込者の設定、カーリースとの併用など、代替案を提案してもらえるケースもあります。正直に事情を伝えることで、適切な方法で審査に臨むことができます。
年収以外に審査で重要視されるポイント
勤務先と勤続年数の安定性
年収と並んで重視されるのが、勤務先の規模や安定性、そして勤続年数です。たとえば、大手企業や公務員など安定性の高い職場で長く勤務している場合、収入が多少低くても信頼性が高いと評価されます。逆に、転職を繰り返している場合や短期就労歴しかない場合は、年収があっても審査で不利になることがあります。
クレジット履歴・信用情報
過去のクレジットカードやローンの返済履歴は、信用情報機関に記録されています。これをもとに、金融機関は申込者の信用度を判断します。延滞履歴や債務整理歴がある場合、年収が高くても審査に通らないことがあります。日頃からクレジット利用を健全に保つことが、ローン審査において重要な準備です。
他の借入状況や生活費のバランス
現在抱えている住宅ローンやカードローンなどの借入総額も審査対象となります。また、扶養家族の人数や住居費などの生活費が高い場合、返済に回せる金額が限られると判断される可能性があります。金融機関は総合的に返済能力を評価するため、全体のバランスが問われます。
まとめ
車のローンを申し込む際に年収をごまかす行為は、確かに一時的には審査通過の可能性を高めるように思えるかもしれません。しかし、虚偽申告が発覚すれば、契約の解除、信用情報への傷、さらには法的責任といった大きなリスクを招きます。年収は金融機関が重視する重要な情報であり、正確に伝えることが、将来の自分自身を守ることにつながります。この記事を通じて、虚偽申告のリスクを理解し、安心してローンを利用するための知識と心構えを得ていただけたなら幸いです。
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