はじめに
カーリースの契約期間が終了に近づくと、「車を買い取るべきか」「そのまま返却した方が得なのか」と悩む方は少なくありません。特に愛着が湧いた車や、まだまだ乗り続けたい車の場合、この選択は重要になります。
本記事では、カーリース終了時の買取について、残価(買取額)の考え方や損益分岐点を詳しく解説します。契約終了時の選択肢を理解し、後悔のない決断をするための参考にしてください。
カーリース終了時に選べる3つの選択肢
カーリース契約が終了する際、基本的に以下の3つの選択肢があります。
1. 車を返却する
最もシンプルな選択肢です。契約時に定められた条件に従って車を返却します。この場合、追加費用は基本的にかかりませんが、走行距離オーバーや車両の傷・故障などがあると追加費用が発生する可能性があります。
2. 車を買い取る
契約時に設定された「残価」で車を買い取る選択肢です。愛着のある車や、まだ乗り続けたい車であれば検討する価値があります。
3. 再リースする
一部のリース会社では、契約終了後も引き続き同じ車をリースできる「再リース」というオプションを提供しています。月々のリース料が安くなるケースが多いのが特徴です。
カーリース終了時の買取を検討すべきタイミング
残価での買取が特に有利になりやすいケースをご紹介します。
市場価値が残価を上回っている場合
カーリース契約時に設定された残価よりも、実際の市場価値が高いケースがあります。例えば、人気車種や希少モデルなど中古市場での需要が高い車、また当初の予想以上に価値が下がらなかった車などです。この場合、残価で買い取れば「お得」になります。
走行距離が少ない場合
カーリース契約では、一般的に年間1万kmなど走行距離の上限が設定されています。実際の走行距離がこれを大幅に下回る場合、車の市場価値は高くなる傾向にあります。こうした場合、残価での買取が有利になることが多いです。
車の状態が良好な場合
大切に乗っていて傷や故障が少なく、定期的にメンテナンスを行っていた場合、車の市場価値は高くなります。このような状態の車は、残価で買い取ることでお得になる可能性があります。
残価とは?買取価格の決まり方
カーリースにおける「残価」は、契約の根幹をなす重要な概念です。詳しく見ていきましょう。
残価の基本的な考え方
残価とは、リース期間満了時に想定される車の価値のことです。カーリースでは、「車両本体価格」から「リース期間終了時の残価」を差し引いた金額を、月々のリース料として分割払いする仕組みになっています。
例えば、車両価格が300万円で、5年後の残価が90万円と設定された場合、リース期間中に支払うのは差額の210万円(+金利や手数料など)となります。
残価の設定方法
残価は、以下のような要素を考慮して設定されます:
- 車種・グレード
- リース期間
- 想定走行距離
- 車の人気度
- 過去の中古車市場のデータ
一般的に、軽自動車や低価格車は残価率が低く、高級車やSUVなどの人気車種は残価率が高く設定される傾向にあります。
実例で見る残価の計算
ある小型SUVの場合:
- 車両本体価格:250万円
- リース期間:5年
- 残価設定:75万円(30%)
この場合、5年間のリースで支払う車両代金は175万円(+金利・手数料等)となります。リース満了時には、75万円で車を買い取るか、返却するかを選択できます。
カーリース終了時の買取は得か損か?計算方法
買取が有利かどうかを判断するための具体的な計算方法を解説します。
市場価値との比較方法
買取の判断には、以下の手順で市場価値と残価を比較します:
- 複数の中古車販売サイトで同じ年式・グレード・走行距離の車両価格を調査
- 買取業者に査定を依頼
- これらの情報から平均的な市場価値を算出
- 契約書に記載された残価と比較
市場価値 > 残価 の場合、買取がお得になる可能性が高いです。
損益分岐点の計算例
例えば、ある車のケース:
- 残価:80万円
- 市場価値(同条件の中古車価格):95万円
- 差額:15万円
この場合、残価で買い取れば15万円のお得感があります。逆に市場価値が残価を下回る場合は、返却した方が経済的に有利です。
買取後の維持費も考慮する
単純な残価と市場価値の比較だけでなく、買取後の維持費(車検・税金・保険など)も考慮に入れるべきです。特に古い車になるほど、修理やメンテナンス費用が増える傾向があります。
例えば、残価より市場価値が10万円高くても、すぐに大きな修理が必要になりそうなら、返却した方が良いケースもあります。
損をしないためのカーリース残価買取のポイント
カーリース終了時に損をしないための重要なポイントをご紹介します。
契約時に残価をチェックする
契約前に残価設定が適正かどうかをチェックしましょう。過度に低い残価設定は月々の支払いを高くし、過度に高い残価設定は買取時に不利になります。業界の標準的な残価率(車種によって異なるが、概ね20~40%程度)と比較することをお勧めします。
車の状態を良好に保つ
リース期間中は車を丁寧に扱い、定期的なメンテナンスを行いましょう。傷や故障が少ない車は、返却時の追加費用を抑えられるだけでなく、買取を選択した場合も有利に働きます。
走行距離に注意する
契約で定められた走行距離制限を大幅に超過すると、返却時に追加費用が発生するだけでなく、買取を選択する場合でも不利になる可能性があります。日頃から走行距離を意識しましょう。
買取と返却、どちらを選ぶべき?判断基準
最終的な判断基準として、以下のポイントを総合的に検討しましょう。
経済的な視点での判断
先に述べた市場価値と残価の比較が最も重要です。加えて、今後の維持費や、新車に乗り換える場合の新たな費用も考慮します。
買取に有利なケース:
- 市場価値が残価を上回っている
- 車の状態が良好で、今後も大きな修理が必要なさそう
- 走行距離が契約の想定より少ない
返却に有利なケース:
- 残価が市場価値を上回っている
- 車に多くの傷や不具合がある
- 走行距離が契約の想定を大幅に超えている
感情的な要素も大切
純粋な経済合理性だけでなく、愛着や使い勝手の良さなども重要な判断材料です。お気に入りの車であれば、多少不利でも買い取る価値がある場合もあります。
ライフスタイルの変化に合わせた判断
家族構成や仕事の変化など、ライフスタイルの変化も考慮しましょう。例えば、家族が増えて車が小さくなった場合は、返却して適切なサイズの車に乗り換えるのが賢明です。
カーリース終了後の買取手続きの流れ
買取を決断した場合の一般的な手続きの流れをご紹介します。
買取意向の連絡
リース会社に買取の意向を伝えます。契約書に記載された期限(多くの場合、満了の1~3ヶ月前)までに連絡する必要があります。遅れると自動的に返却扱いになる場合もあるので注意しましょう。
必要書類の準備
買取手続きには以下のような書類が必要になります:
- 買取申込書(リース会社から提供)
- 印鑑証明書
- 運転免許証などの本人確認書類
- 自動車税納税証明書 など
リース会社によって必要書類は異なるので、事前に確認しておきましょう。
支払いと名義変更
残価の支払い方法を決定し(一括または分割)、支払いが完了すると名義変更の手続きが行われます。これにより、正式にあなたの所有となります。
まとめ:後悔しないカーリース終了時の選択を
カーリース終了時の買取か返却かの選択は、経済的な側面とライフスタイルの両方を考慮して決めるべき重要な決断です。
残価と市場価値の比較、車の状態、今後の使用予定などを総合的に判断し、自分にとって最適な選択をしましょう。特に、契約内容をしっかり理解し、早めに情報収集を始めることが大切です。
また、次回カーリース契約を検討する際は、契約時点での残価設定に注目し、将来の選択肢を広げておくことも重要です。賢明な判断で、カーライフをより豊かなものにしていきましょう。
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